語法について(9)〜(16)
(9)「夢を見る」って、dream a dreamでいいのですか。
It dreams of a dream.という表現は正しいですか?中学生の時、dreamには“(夢を)見る”という意味があると教わったのですが」
dreamは、名詞と動詞が同型です。よって、仰るとおり、dream a dreamという形も可能。でも、主語はItじゃなくて、夢を見る本人、ISheなど、人です。
通常は、I dreamed a dream.という言い方はくどいのであまりしないのですが、この形を使う場合は、I dreamed a scary dream.I dreamed a happy dream.などのように、形容詞を使うことが多いです。
「私は夢を見ました」は、たいていI had a dream.という言い方をします。seewatchは使わないので注意。
また、ofを使うのは、「〜のことを夢に見た」という場合。I dreamed of home.(ふるさとの夢を見た)という言い方もするし、憧れという意味でShe is dreaming of becoming an actress.(彼女は女優になることを夢見ている)という言い方もできます。
(10)"a coming-of-age drama"って、どんなドラマなんでしょう。
「若い女の子の成長を描いた映画の解説に"a coming-of-age drama"とあります。「少年や少女が大人になる過程を描いたドラマ」というようなニュアンスで良いのでしょうか」
come of ageで「成人に達する」という意味があるので、その理解は正しいです。
でもって、念のためネイティブにも聞いてみたところ、come of ageというのは「オトナになる」というニュアンスを多分に含み、coming-of-age dramaというのは、デートだとか初体験だとか異性との関わりの中で起きる青春ドラマのような印象を持つそうです。
(11)"...sat below on stools"って、どこに座っているんでしょうか。
「"Other people in the room sat below on stools or benches." と言う英文なんですが、前置詞 below と on が一緒になってます。これはこれでいいのですか?」
確かに「おや?」と思うかもしれませんね。主語がother peopleですから、きっとこの前に書き手本人(または別の人達)に関する記述があったと思います。このbelowstoolsbenchesにかかっているのではなく、sat below、つまり書き手(または以前に書かれていた人達)より下の方(低い場所)でスツールやベンチに腰掛けていたという意味です。
(12)"a regular on the dean's list"ってどういう意味ですか。
deanは、生徒会長みたいなものだと思うのですが、どうなんでしょうか。訳的・ニュアンス的には“優等生名簿の常連で”というようなことなのでしょうか」
Dean's listは、成績優秀者名簿のことです。Deanは学長ですね。GPA(Grade Point Averag。.評定平均というやつです)によって決まります。
学期ごとに区切るところ、学年ごとに区切るところ、学校によってさまざまのようです。ですので、御質問の場合もregularという単語がやはり重要なのです。4年間大学に通ってたった1学期だけだったとしても、I made the Dean's list.と言おうと思えば言えるので。 私の行っていた大学にはDean's listというものはなく、卒業時に在学期間中のGPAを計算して、優秀者をHonor Studentとする、という形をとっていました。
(13)勤務先を言うとき、前置詞はofそれともwith?
「"I'm a pilot with United American Airlines."って、なぜwithなんでしょう。ofではいけないのでしょうか?」
私が思うに、ofだと関係があまりにも直接的で対等にイコールすぎる(なんという日本語)。所属はwithの方がいいのでは、と思ったのですが、なぜofでは間違って聞こえるのか、ナマの感覚をネイティブに聞いてみました。
考えたこともない質問だと言ってさんざん唸っていましたが、出てきた答えは、「ofだと一人しかいないみたい」。たとえば、kingpresidentなど、団体の中で一人しかいない者ならofを使うけれども、「〜会社で働いている」のように他にもたくさんいるような場合はwithを 使うのが自然に聞こえるとのこと。
じゃあ、部長や課長はどうなのかと言うと、a manager with ABCも、the manager of ABCもどちらもアリ。他にいるかいないかは、会社によっても違いますしね。
(14)"come up with"って、どんな感じの言葉ですか。
「昨晩、CNNを聞いていたらコソボ紛争の話題の中で、確かレポーターが繰り返しcome up withという言葉を使っていました。その人の常套句のように思ったのですが…」
comeは「来る」として知られていますが、イメージ的には「何かが近づく」感じ。
upも単なる「上」ではありません。私のクリエーションですが、干上がりそうな小川に雨が降るイメージ。これがいろいろな意味を生みます。つまり、水面はどんどん上がって地面に近くなり(上昇、増す、近づく、及ぶ)、魚も元気に泳ぎ出し(活気づく、活動中、調子が上がる、準備が整う)、やがて小川はあふれてしまいます(残らず〜してしまう、〜しつくす、終わる、尽きる、完全に)。
withは一言で言えば「付帯」。
というわけで、三題噺じゃないですが、これら3つが繋がるとどんな意味になるんだろうと想像すれば良いわけです。熟語の意味を知らなくてもなんとかなります。
come up withなら、誰かが近づいて何かにぶちあたる、誰かが何かを携えてやって来る、というイメージが湧きます。それは時と場合によって、新発見、アイデア、新商品、言葉などが出る、または追いつくなど色々な意味になるわけです。
(15)"coquettish"って、褒めコトバ?
日本だと、新人アイドルの説明なんかに「コケティッシュな18歳」みたいに書いてあったりするし、小悪魔的とかいたずらっぽいとかいう感じで、わりと良い意味で使われているようですね。
coquettishはフランス語のcoquetから来ていて、「その気もないのに男を誘うような素振りをする」という意味。(フランス語の辞書には「おしゃれな」という意味も出ていますが、英語にはこの意味はありません)
ほめ言葉かという話ですが、これは一応ネイティブに聞いてみました。英語の場合は、言われて嬉しいと思う言葉ではないとのこと。男に媚びる女って感じがするようです。
(16)ボクシングのノックアウト勝ち(負け)はなんというのだろう。
「また、clinchhugのニュアンスはいかなものかと」
ボクシングの得点による判定勝敗はwin(loss) on pointsといいます。clinch(クリンチ)は本来「釘やボルトなどでしっかり締める」という意味。俗語としては、男女の抱擁を意味することも。
ノックアウト勝ちは、win by knockout。聞いてみれば「なあんだ」って感じですよね。
clinchは俗語ですからねえ。きれいな感じはしません。「激しい」抱擁で、ぎゅうっと力が入っていて、なかなか離れない感じ。
hugは抱擁を意味する、一般的によく使われる単語で、抱え込むイメージ。多くの場合は愛情を持って相手を抱きしめることを指すのですが、偏見を「抱く」も、熊が前肢で「ぐっと抱える」のもhugだし、いつも必ず愛情がともなうというものではありません。一筋縄ではいかないんですね。