語法について(25)〜(32)
(25)I suggest that...となどの提案文で、従属節のshouldが省略されるのはなぜ?
「提案を表す仮定法現在において、たとえばsuggestproposeなど、このような『提案や要求を表す一部の動詞』に対してshouldが省略されるんですよね」
「一部の動詞に対してshouldが省略される」というわけではないのですよ。「仮定法現在はもうほとんど使われないけど、提案や要求を表すときにはまだ出番が残っている」ということです。

これを解明しているのが、佐久間治氏著の「英語の不思議再発見」(ちくま新書)です。彼の説を私が要約してお伝えします。
“昔の英語では、このような従属節に動詞の原形を用いていました。シェイクスピアの書いた英語を見ても分かります。当時の移民がイギリスから新大陸に持ち込んだ英語は、この当時の英語です。その後イギリスでは「should+動詞の原形」へと変化していきましたが、アメリカでは当時のまま変わることがありませんでした” というわけで、「最初からない」という説なのです。
佐久間氏いわく、「何でも簡略化するアメリカ人のやることだから…」と解釈している人が多いけれど、これに関してはそれは誤解であるとか。このように、昔の英語がアメリカに残り、本家イギリス英語がその後変化したという現象を、1620年にイギリスから新大陸へ渡った船の名にちなんでMayflower Englishと呼ぶそうです。
(26)can't have doneっていう表現は、本当にないの?
「多岐川さんの助動詞の本の中には『ない』と書いてありますが、あるHPの辞書で"I don't think you can have talked to her. (君が彼女と話が出来たとは思えない)とあり、悩んでいます
うーん。これは、不自然です。とっても、とっても。can have doneという形がないというのは、文法書にもありますし、私が実際にネイティブに聞いてみたところでも「ナイ」という答えです。
まあ、文頭でI don't think と否定しているので、結局「彼女と話しができなかった(can not have talked to her)」ことになって、結局は否定しているのですが。
また、実際に会話で誰かが言ったとしたなら、canと完了形のエッセンスをきちんと理解していれば、相手の言わんとすることは分かるでしょう。
それにしてもこれって、ふつうなら、I don't think you had a chance to talk to her.などのように言いますよ。
(27)仮定法で時制がずれるのは、時制の一致とは違うのですか?
たとえば、If I were a man, I wouldn't go out with her.のような仮定法。僕はif節が『過去形』なのでwillが過去形になったと解釈しています。同様に仮定法過去完了も単なる時制の一致として捉えています。この解釈は誤りでしょうか?
仮定法を時制の一致ととらえるのは、珍しい解釈なのではないでしょうか。
たとえば、If I were a man, I wouldn't go out with her.は、if節がなかったとしても、I wouldn't go out with her.(自分だったら彼女とはつきあわない)だけでも立派に文として成立します。
また、「過去が〜だったら、(過去が)〜だったのに」とどちらも過去の仮定をするものもあれば、If I had won the lottery then, I would be a millionaire now.のように、「過去が〜だったら、今〜なのに」と、過去形を用いるにしてもズレがある場合もあります。
節と節の時制を合わせているというわけではなく、個々の節の表す内容と事実とのズレ具合によって時制が決まると考えた方がスムーズだと思います。
(28)wouldは、willの過去形というより、むしろ別の単語のような気がします。
「たとえば、I wouldn't go out with her.などの wouldn'tは、willと別物のような。どんなもんでしょう」
まったくその通り!別物と理解しましょう。willと同じと考えない方がいい。wouldは確かにwillの過去形なのですが、だからといって別に過去を意味するわけではない用法がたくさんあります。この例のように「自分だったら(彼女とはつきあわない)」と、現実とは違うことを想定する用法や、Would you...?のような丁寧表現などは、その代表例です。
(29)Long live rock'n roll!って、祈願文?命令文?
Chuck BerrySchool Daysという曲の一節。これって祈願文で仮定法現在でしょうか?それとも命令法?
歌詞の前後が分かりませんが、これだけ見れば祈願文。Long live the Queen!なんてのをもじっているんでしょう。
(30)「素晴らしい」を英語でいろんな言い方をしたいのですが。
「『素晴らしい』は、どういう使い分けをしたらいいのでしょう?ちなみに私は、イタリア語で“素晴らしい”というのを"fantstico"と言うので、つい、『ふぁんたーすてぃっく!』と言ってしまいますが、『え?それってどういう意味で?』と聞き返されること、少なくありません」
なあるほど…。イタ語ですか。
Fantastic!でも全然かまわないと思うのですが。私の友達は、半ば口癖でしょっちゅう言ってますよ。たとえば、急な出張なのに、ゴチャゴチャとした乗り継ぎも含めて思い通りのフライトをJTBのお姉さんが手配してくれたときとか。ただ、大げさに響く言葉ではありますね、たしかに。
あとは、日本語の「カンペキ!」にあたるPerfect!なんてのもあるし、「素晴らしい」ってことでSuper!なんてのもあって、この二つの方がFantastic!より聞く機会が多いです。「素敵!」にあたる語で、Fabulous!なんてのもありますね。これは男の人が使うとちょっとカマっぽい感じも。ファッションデザイナーがモデル達に向かって言う姿などを思い浮かべていただくといいでしょう。
Great!は、「すごい!」という意味でよく使われますが、先生に呼び出されたり、休日出勤が決まったりなど、良くないことに対して「上出来だ」という感じで使うこともあります。
この他に、日本人の持つイメージとちょっと違う使われ方をするのが、Beautiful!です。beautifulには「美しい」だけでなく、「すばらしい」とか「立派な」などという意味もあり、ものすごくおいしそうな物に対して使われることもあります。この前Lawry'sへ食事に行ったときには、beautiful prime ribなんて言っていましたよ。
(31)現在完了の疑問文で、yetとalreadyの使い分けは?
「"Have you named your cats yet?"は"Have you named your cats already?"でもいいのでしょうか?
「もう〜しましたか?」と言うとき。平叙文ならalreadyですから、そのまま語順をひっくり返して疑問文にしたいところです。私もこれに気付くまでにしばらく年月がかかりました…。
yetを使うと、「もうやった?」という、普通の疑問文となります。alreadyを使うと、「もうやったの!?」と驚きが混じります。already(すでに)というのは、意外と強く響く言葉なのですね。
夜8時頃に「もう夕飯たべた?」と普通に聞くならyetを。6時頃に「もう食べちゃったの?」と聞くならalreadyを、という感じで使い分けてください。
(32)付加疑問文で、"don't you?"でなく"haven't you?"と言う先生がいます。
「英会話学校のレッスンで先生が、You have three children, have't you?と言い、You have a car, don't you?と言います。childrenhaven't youで、carならdon't youのが自然な感じがするそうです。困ってしまいます
うーん。確かに、それに理屈を付けようとしても無理ですね。気にせず全部don't you?で覚えていいと思います。doの付加疑問文は、don't youがふつう。(しかし、haveが助動詞の場合にはhaven't you?です。つまりYou've got a sister, haven't you?なんて場合など) 口語は結構ゆるい部分があって、文法的にどうのではなく聞き慣れているかどうかが大きなポイントになったりもするということですね。