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| 第141回『戦争について Jefferson & King』 |
皆様、お正月はいかがでしたか?2003年もどうぞよろしくお願いいたします。
イラクや北朝鮮問題など、戦争の背中が見え隠れしているような新年の幕開け。今回は年の始めの特別編として、平和についての故人の言葉をご紹介しましょう。
まずは、米国第三代大統領であり、1776年7月4日に署名されたthe Declaration of Independence(独立宣言)の起草者である、Thomas Jeffersonの言葉です。
"War is an instrument entirely inefficient toward redressing wrong and multiplies ― instead of indemnifying ― losses."
「戦争は、誤りを正すのには全く役に立たない手段であり、損失を補償するどころか増幅させるものである」
inefficientは、efficientに否定の接頭辞がついたもので、「効果のない」。
redressは、「(不正、不均衡などを)直す、(苦情の)原因を取り除く」。
indemnifyは、「保護する、保障する」。
lossの中でも最たるものが、人命の喪失です。一度失ったら決して取り戻すことができないものを、本人だけでなく周りの人達にとってもかけがえのないものを道具に使って得られる代償が、さらに尊いものであるとは思えません。
多くの命を救うには少しが犠牲にならなければならないと言っても、じゃあどの人の命なら犠牲になってもいいのかなんて、答えがあるはずもありません。
次は、米国で非暴力による公民権運動をした牧師、Martin Luther King Jr.の言葉。当時は多くの州が人種隔離制度をもち、公の場は白人用と黒人用に分けられ、黒人には選挙権もありませんでした。
"The ultimate weakness of violence is that it is a descending spiral, begetting the very thing it seeks to destroy. Instead of diminishing evil, it multiplies it. Through violence you may murder the liar, but you cannot murder the lie nor establish truth. Through violence you may murder the hater, but you do not murder hate. In fact, violence merely increases hate. Returning violence for violence multiplies violence, adding deeper darkness to a night already devoid of stars.
Darkness cannot drive out darkness ― only light can do that.
Hate cannot drive out hate ― only love can do that."
「暴力は、自らが破壊しようとするものを作り出しながら下降してゆくスパイラルであることに、根本的な弱さがある。邪悪を減少させるかわりに、増幅させてゆく。暴力によって、嘘をつく者を殺すことはできるだろう。しかし、嘘を殺すことはできず、真実を築くこともできはしない。暴力をによって、憎しみを持つ者を殺すことはできるだろう。しかし、憎しみを殺すことはできない。暴力に暴力を返すことで暴力は増幅し、すでに星のない夜の闇をさらに深くする。
暗闇によって暗闇から抜け出すことはできない。それができるのは光だけだ。
憎しみによって憎しみから抜け出すことはできない。それができるのは愛だけだ」
begetは、「こしらえる」。
diminishは、「減らす」。
devoidは、「〜に欠ける」
こうして立ち上がったKingは、反対派や警察から何度も暴行を受け、投獄され、刺されて死にかけたことも、家に爆弾を仕掛けられたこともありました。1964年に公民権法制定の後、ノーベル平和賞を受賞するも、39歳の若さで反対派の凶弾に倒れました。その彼の言葉だけに、単なる理想論ではない重みがあります。
しかし、このように立派な言葉に触れていても、実際にもしも身近に何かが起これば、私は躊躇なく復讐に向かうかもしれません。我が身に降りかかってみなければ、その重さは到底分からないものです。だから、難しい。何もないときに、考えておかねばならないのです。
◆ Do you think we should go to war against Iraq?
◆I don't know. I don't think we should.
◆ Nobody wants to die.
◆ イラクに対して戦争をするべきだと思う?
◆
分からない。するべきじゃないと思う。
◆ 誰だって死ぬのは嫌だよね。
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