街を歩いていると、忘年会・新年会予約のチラシを手渡されました。もうそんな季節だなんて、信じたくない気分です。でも、そろそろそういう時期なのですね。
今週は、コレクトコールについてお話しします。
コレクトコールは、割高にはなりますが、コーリングカードもクレジットカードもないというときには便利な手段です。オペレーターに電話して、こう言います。
I'd like to place(make) a collect call.
コレクトコールをしたいのですが。
かつて私が留学していた町Plymouthは、アメリカの中でも片田舎で、いわゆる路線バスというものはありませんでした。あるのは、最も近い大都会(とはいえ車で2時間以上かかる)Bostonとを結ぶ長距離バスのみで、それも平日に1日1本きりでした。しかも、週末はなし。
たとえば何も知らない学生が、土日祝日にBostonからキャンパスに帰ろうとバスに乗っても、1時間あたり走ったところにポツンとある停留所、屋根と椅子と公衆電話とジュースの自販機があるだけで何もないところで、It's weekend. This is the last stop.(週末だからね。ここが終点だよ)と無情にも強制降車させられてしまうのです。
ある冬の日曜日の夜、ルームメイトからコレクトコールがかかってきました。オペレーターに、
Will you accept the charge?
料金をお引き受けになりますか?
と聞かれ、その場にいた他の寮生に聞くと、Let her pay later.(彼女に後で払わせなよ)と言うので電話を受けると、ルームメイトは開口一番、イライラした声で、I'm stuck.(足止めをくってるのよ)と言います。途中の停留所で降ろされて、途方に暮れているというのです。
誰か迎えに来てくれと言われても、私はもちろん、寮生達は車を持っておらず、その友達にも、わざわざ寒い夜に1時間もかけて知らない子を迎えに行ってくれるような子はいませんでした。寮生達は口々に、I'm sorry.と言うばかり。
私はその旨をルームメイトに伝えて電話を切ったのですが、彼女は何度もコレクトコールをかけてきて、しかもどんどん荒れてゆきました。
集まってお喋りしている寮生達に向かって私が、She's getting hysterical.(彼女、ヒステリックになってきてるよ)と言うと、Let her be. It's her fault. We tried to help, but couldn't find anyone.(ほっときなさい。自分のせいなんだから。私達だって助けようとしたけど、誰もみつからなかったのよ)という返事。反対に、Don't accept her calls any more.(もう彼女からの電話を受けるのやめなさい)と言われる始末です。何も出来ないのにコレクトコールなんか受けても、彼女の出費が増えるだけだというわけです。だからといって無視するのは、私の立場としてはつらい…。
日本人の感覚だと、何もしてあげられない場合、もう少し気まずそうにするとか、せめて電話に出てなだめるなどすると思うのですが、彼女たちは自分にできる範囲のことをやったら、後はあっけらかんとしたものでした。彼女たちにとって、親切と自己犠牲はまったく別物。だから、自分が何かしてもらった場合にも、「嬉しい。ありがとう」とは思っても、日本人みたいに「申し訳ない」という感覚がないともいえます。
結局、ルームメイトは8回のコレクトコールに40ドルかかったあげく、数十ドル払ってタクシーで帰ってきました。ぶんむくれにむくれ、You guys are not my friends!(アンタ達なんか私の友達じゃないわ!)と言い放ち、ふて寝。なのに翌日、何事もなかったかのように振る舞う彼女たちを見て、私はつくづく「違うんだなあ…」と思ったのでした。
来週も、電話にまつわるお話をします。お楽しみに。
◆ I'd like to make a collect call to Mr. Schneider in Los Angeles.
◆ What's his phone number?
◆ His number is 012-345-6789.
◆ ロサンゼルスのシュナイダー氏にコレクトコールをしたいのですが。
◆ 彼の電話番号は?
◆ 彼の番号は、012-345-6789です。
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