THE 100TH MEMORIAL
第100回『英語は果たして"必要"か?
もうすぐ4月。新学期、新年度を迎える季節です。「ちょっとで差がつく英会話」も、連載開始から2年がすぎ、おかげさまで第100回を迎えました。パチパチパチ!!読んでくださっている皆様、本当にどうもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
節目となる100回目は、英会話をお休みして、ちょっと考える時間を持ってみましょう。

今年の初め(1月3日)、米紙ニューヨークタイムズが、日本のアニメ文化を紹介する記事で「日本では刊行物の60%が漫画であり、それは日本の識字率が低いためである」と伝えて、多くの人を驚かせました。記者は「日本で漢字の多い長文の本を読む能力が落ちていることを言いたかった」とか。実際は、日本の識字率は99%〜100%と言われており、最高水準とされています。

私達日本人からすれば、報道の内容にはあきれるばかりですが、有名紙がそんな間違った報道をしてしまう裏には、アメリカ自身の姿があります。アメリカの識字率は、80%に満たないと言われています。また、昨年時事通信社が発表した米商務省の2000年の統計によれば、米国民のうち、英語をまったく話せない、またはほとんど話せない人の数は、1050万人を越えました。1990年の同調査から1.5倍増です。(1/3が、移民の多いカリフォルニア州に集中しています)

移民の受け入れ、人種差別、貧富の差など、いろいろな要素がまざりあった結果であり、良いとか悪いとか簡単に結論が出せる問題ではありませんが、少なくともアメリカ人にとって、そこに住んでいながら、その国の言葉を話せない、読めない人達の存在は、日本におけるそれほど珍しいものではないことは明らかです。

アメリカにしばらく滞在してみると分かりますが、生きていくだけなら、意外にも英語はほとんど必要ありません。食料品も衣類も、品物を持ってレジへ行けば買えるし、仲間内に1人でもちょっと話せる人がいれば、どうにも問題が複雑になったときには頼ればいいのです。話せないことで逆に面倒なことから免れることもあるし、公的な機関や法律に関わるような問題なら、先方が通訳を用意してくれるでしょう。これは何も移民に限ったことではありません。大都会の語学学校に通う日本人学生の中には、こうやって「お客さん」のまま1年、2年と過ごす人が少なくないのです。

さて、アメリカにいてさえも、英語は生きていくのに必要というわけではない。それなのになぜ、日本にいる私達は英語を勉強しているのでしょう。突き詰めて考えれば、それはやはり、「楽しみたいから」ではありませんか?

起きて、食べて、寝る生活サイクルに言葉はなくても何とかなるけれど、プラスアルファのところに楽しみはあります。「なくてもいい何か」があるから、生きていくのが楽しいのです。
「これがおいしい」「あれが面白い」など他愛もないことを話したり、旅先で新しいものに出会って色々と質問したり、キャリアを積んで今より大きな仕事をしたり。英語を身につければ、そんなことを、違う国に育った人と一緒に楽しむことができます。

また、たとえ実際に会話する機会が少ないとしても、映画を見て生のセリフから主人公の気持ちを感じ取ったり、言葉の使い方一つに文化の違いを見たり、日本語と英語の考え方の違いに興味を持ったり、英語を学ぶことによって日々が豊かになる機会は大きく増えます。

英語の勉強が嫌いだけれど、それでも漠然と「やらなきゃ」と圧迫感を感じている人は、英語は必要なものではないのだという事実を、一度きちんと理解した方がいいでしょう。アメリカでさえ、英語ができないからといってあなたを追い出したりはしないのです。ましてや、やらなくたって死にはしません。

英語は、やらされるものではなく、あくまでもあなた自身が人生を楽しむための手段。自分は何を楽しいと感じるのか、英語で何ができたら楽しいのか、そんなところから英語を見直してみてはどうでしょうか。今までとは違う気持ちで英語に向かえそうな気がしませんか?

さて、来週は101回目。新たな出発です。
「電話応対」をテーマにお送りします。お楽しみに。


Have you ever thought about why you study English?
Not really. Have you?
I thought about it the other day.
And?
It's very simple. I study English beause I like studying English. It opens your doors to the world.

なぜ英語を勉強するのか、考えたことある。
きちんと考えたことはないな。君は、あるの?
この前、考えたのよ。
それで?
とても単純なことよ。好きだから勉強するんだわ。世界への扉を開いてくれるのよ。