ASKING DIRECTIONS
第95回『この辺りはよく知りません』
そろそろ春の匂いがしてきましたね。東京の都心は梅が見頃です。皆様はいかがお過ごしですか?
今年に入り、道案内のフレーズを特集していますが、道順を教える以前に、「分かりません」と言わなくてはならない場合もあるでしょう。今週はそのためのフレーズをおさえておくことにしましょう。

皆さんが海外に行って驚くことの一つに、たぶん「この私(俺)に道を聞く奴がいる」というのがあると思います。私は、留学のためアメリカに行って3日もたたないうちにダウンタウンで白人女性に道を聞かれ、まわりにいくらでも「アメリカ人らしい人」がいるのに、なぜ私に聞いてくるのかととても不思議に思いました。
日本では、まわりにいくらでも日本人がいるのに、一目見て日本人ではなさそうな人に道を聞くような人はまずいません。でも、欧米では確かに、日本ほど日本人だけで暮らしていたりしないし、どこの大きな都市にもChina Townはあるし、二世三世だって沢山いるし、たいして深く考えず、「目についた人にとりあえず聞いてみよ」となるようです。
どこから来た人なのかより、危ない人ではないか、ということの方が優先されるようでもあります。

まずは基本中の基本から。何かを質問されたり頼まれたりしたけれど、相手の期待に応えられないという場合は、I'm sorry.Sorry.から答え始めるのが感じが良いです。
当連載開始当時からずっと読んでくれている皆様は、sorryとは古期英語で「心が痛い」という意味だったのを覚えているでしょう。(第7回参照) 「助けてあげたいのはやまやまで心が痛みます。しかしながら…」という意味で、I'm sorry (Sorry), but...と言うのです。
例としては、こんな感じ。

Sorry, but I don't know this area.
すみませんが、この辺りはよく知らないんです。

きっと、知っている単語ばかりだと思います。同様の内容を伝えるのに、他にはこんな言い方もあります。

Sorry, but I'm not familiar with this area.
すみませんが、この辺りはよく知らないんです。

be familiar withで「〜を詳しく知っている、〜と親しい」という受験英語でおなじみの熟語ですが、学生時代に覚え損ねた人は「ナニそれ?」って感じかもしれません。しかしながら、familyという単語は誰でも知っているはず。初めて聞く表現だとしても、「I'm familiar withって?私は〜とファミリーみたいなイメージ?」と、分からないなりにも想像するクセがつけば、皆目見当がつかない人達とは理解度が雲泥の差だし、知識の定着も早いのです。
もう一つ、こんな表現もあります。

I'm sorry, but I'm a stranger in this city.
すみませんが、この町は私も不案内です。

「見たことも聞いたこともない、奇妙な」がstrangeという単語の基本の意味ですが、「〜する人、〜する物」を表す接尾語erがついてstrangerとなると、「見たことのない人、知らない人、よそから来た人、初めて来た人、不慣れな人、未経験者」という意味になります。たとえば、こんな使い方をします。

I'm a stranger here.
ここへは初めてです。

I'm a stranger to Rome.
ローマは初めてです。

来週は、letを使った「〜してさしあげましょう」という表現をご紹介します。お楽しみに。


Excuse me. How can I get to the Harbor Museum?
I'm sorry, but I'm a stranger in this city.
Oh, all right. That's fine. I'll ask someone else then. Thank you.
Do you know there is the Information Center right around the corner?
Oh, is there? Thank you. I'll try there.

すみませんが、ハーバー・ミュージアムへはどう行けばいいのですか?
申し訳ないのですが、私もこの町は不案内です。
ああ、そうですか。大丈夫です。他の人に聞きますから。ありがとう。
すぐそこの角を曲がったところに案内所があるのを知っていますか?
そうなんですか?ありがとう。そこをあたってみます。