AIRPORT
第79回『真夜中の空港で取り残された話』
皆様、お元気ですか?私は先日京都に出かける機会があり、紅葉にはまだちょっと早かったのですが、秋の空がとてもきれいで心洗われました。たまにはポーンと現実からエスケープしてみるのもいいものです。

私が空港で最も不安な思いをしたのは、留学のために初めてアメリカに飛んだとき。Northwestを利用したのですが、大幅に遅れて現地に着いたのが夜の12時すぎで、空港はがらーんとしていたのです。そんな時間に到着したのは一機のみ。乗客はほとんどが地元の人らしく「勝手知ったる」といった感じでどんどん散り散りになっていき、大きなスーツケースを持ってあたふたしているうちに、私はぽつんと取り残されてしまいました。

空港からバスに乗って友達のアパートに行く予定でしたが、そんな真夜中にバスなど走っているわけがありません。空港の外でたむろしているおっさん達がガラス越しに私をチラチラ見ているのに気づいていましたが、「カモになってはいかん!」と無視。やっとの思いで公衆電話をみつけて電話しようとしましたが、日本から着いたばかりで小銭がない!

どうしたものかと思っていると、その隣の柱にTAXIと書いた無料電話らしきものが掛かっているのに気づきました。すると、とうとう前歯の欠けたおっさんが私に近づいてきてしまいました。「やめて、来ないで!」と思い、彼を無視するため、どこにつながるかもわからないままTAXI電話の受話器を掴んだ私。おっさんがWhere are you going?と話しかけてくるので、It's OK.I'm calling a taxi.などモゴモゴ返事をすると、You don't have to.I can drive you where you're going.などと言い出し、俺に頼んだ方が早いとか安いとか、胡散臭いことを言います。
そのうちに無料電話がTAXI会社につながってしまい、双方からいっぺんに話しかけられてワケが分からなくなった私はとりあえず電話を切り、前歯のないおっさんにLet me talk with my friend first.と言って、1ドルを両替してもらい、友達に電話をしました。

「あれー?何やってんのー?今どこよー?」と友達。事情を説明すると、「じゃあタクシーで来なよ。仕方ないじゃん」と軽い返事。「人ごとだと思って!このままさらわれたらどうすんのよ」と思いましたが、よく見るとおっさんは首からIDらしきものを下げています。よそ見しているおっさんの目を盗み、電話しながらIDを注視すると、どうやら空港に出入りすることをauthorizeされている、ちゃんとしたIDらしいことが分かりました。

「遅かったら心配してよ」と友達に言い残し、腹をくくって(あのときの私にとっては)おっさんに着いていくと、すぐ外ではライトバンの中に若いカップルと老夫婦が座って、おっさんを待っていました。「こんな年寄りが利用するなら大丈夫だろう」と思い、またフロントガラスにVISAやらAMERICAN EXPRESSのステッカーが貼ってあるのを見て一安心。カードで支払いのできる強盗なんて聞いたことがありません。
結局、そのおっさんは乗り合いタクシーの運転手でした。座席が埋まるまで客を待ち、あとは行き先順に人を下ろしていくのです。余った座席を埋めるのに、私が好都合だったというわけ。

ヒヤヒヤハラハラしてたどり着いた友人宅では、2時すぎというのに数人が大音量でMTVを見ており、ポップコーン片手に「言われた通りに心配して待ってたさー」と言われて、「ああ、ほんとに一人でアメリカに来ちゃったんだなあ」と思ったのでした。

来週もお楽しみに。

Excuse me.Is there a shuttle bus to Harbor Hotel?
I don't think so, but you can take a taxi.
Where can I get a taxi?
There is a taxi stand around the corner.
Thank you.

すみません。ハーバーホテルへのシャトルバスはありますか。
ないと思いますけど、タクシーで行けますよ。
タクシーにはどこで乗れますか?
角を曲がったところにタクシー乗り場があります。
ありがとう。